京大・阪大・医学部受験のあれこれ

京都大学大学院卒のプロ講師・家庭教師によるブログ

兄弟同時に(国)医学部受験!

彼を教え始めたのは高2の冬から、理系全般を指導することになりました。

 

面談をしてみると、志望大学は関西の人にはめずらしいですが、東北大学の医学部ということでした。

しかしお母さんからはうちの子はとにかく勉強しないという相談を何度も受けておりました。実際に教えてみると、奈良学園に通っていてそれだけに地頭は良かったのですが、やはり中々勉強してくれない、そういう方でした。

 

ちなみに、お家はかなりの旧家で、少しトイレをお借りするとなるといくつも部屋を通り過ぎてやっと辿り着くほどの大きなお宅でした。

 

いよいよ高3になって、春に模試を受けたとき、現役生で仕方がないのですが、それでもあまりに悪い結果が返っていきました。そんな結果だったので私はその模試の成績表を机の真ん前に貼りつけ、剥がすなと言いました。

するとさすがにその子も少し腹が立ったようで、少し勉強をするようになってきました。

 

しかしスイッチが入ったのは良かったのですが、今度は勉強するあまり逆に学校にいかなくなってしまいました。

医学部受験は調査書を提出しなければならず、出席日数が見られるので、それはあまりよろしくありません。

ですので、勉強をはじめたのは良かったのですが、なんとか説得して学校にだけはいってもらいました。

 

そうこうして勉強をやっていくと、やはり地頭はよく、成績は順調に上がっていきました。

 

それでも現役生は毎度のことですが、物理・化学が弱く、それらはかなり苦労しました。そこで物理の弱い方にいつも進める教材として「難問題の系統とその解き方」(難系)を解かせていきました。

難系は、彼は私の授業のときしか取り組まなかったのでかなり時間がかかりました。そのせいで、理科は本当にギリギリになる始末でした。

 

いざセンター試験となると、彼はバカ取りしてかなりの高得点を取ってきてくれました。

 

私としては東北大も十分に狙えると思いました。

 

しかし東北大はセンターと二次試験の配点は1:3とあまりセンターの比率は高くありません。

また旧帝大であることや、関東圏では難易度の高い東京医科歯科などを避けて東北大を受験する方も相当数いることなどから難易度もかなり高い方です。

ですのでセンターで点がよかったからと行って、全く安心できる大学ではありません。

 

そういうこともあり、ご家庭ではせっかくのセンターでの高得点を活かせる大学に出願するべきか話し合いが行われておりました。

 

ところで、このお家には1年前に関西の私大医学部に進学していたお兄さんがおりました。その方はもともと国公立志望ではあったのですが、現役時では振るわず滑り止めの私大に進学されていました。

 

しかし環境が自分に合わないということで、たった1週間でやめて返ってきてしまっていました。

 

実は再受験するかどうか悩んでおられた時、私は相談を受けていたのですが、「再受験するならば何があるかわからないので、休学にしておきなさい」とアドバイスしていました。

そこでそのお兄さんは、単純に休学はできないので、適当な理由をつけて休学にしていました。

 

そして、このお兄さんも仮面浪人1年目としてセンター試験を受けていたのですが、これがなかなかに渋い点数でした。

 

実際のところ、ご家庭でどういう理屈でそうなったのかはわかりませんが、点数の良かった弟は徳島大、悪かった兄は浜松医科大に出願しました。

その時私はは旧家だったので、お兄さんへの配慮があったのかなと思いました。

 

弟の方は徳島大の判定が優にAラインを超えていて、二次試験で30%以上取れれば合格という、受ける前からほぼ合格の状態でした。

 

問題はお兄さんの方で、指導自体は私がしていたわけではないのですが、これから二次試験に向けてやっていくぞという時に、トラブルが起こりました。

 

調査書を請求したことがどういうわけか大学に伝わり、休学の名目が嘘で再受験しようとしていることがバレたのです。そして、大学側は国公立の二次試験の日に復学のための査問会を開くとしてお兄さんは呼び出しを受けました。

 

その時も私は相談を受けました。ご家庭は相当慌てておりましたが、私はただ「お医者さんのご家庭なのでおわかりかと思いますが、冬はインフルエンザが流行しますので、1週間外出できないなんてことはザラにありますなあ」ということを言いました。

 

そして、無事受験が終わり蓋を開けてみるとお兄さんも、教えていた弟くんも両方合格を勝ち取りました。

 

色々ありましたが、みんな受かってようやく丸く収まったなといった感じでした。